白井尚之 逝去のお知らせ
当社社員の白井尚之が、かねてより癌の治療を続けておりましたが、2026年7月20日に永眠いたしました。
生前は多くの皆様に支えていただき、心より感謝申し上げます。
闘病中、私達は病院に付き添う道中の中でも「苦しくなったり、つらくなったらいつでも連絡してほしい」と伝えていました。しかし白井は私たちには連絡をせず、お姉さんにだけ連絡を取り、静かに旅立ちました。
周囲には最後まで弱い姿を見せたくなかったのかもしれません。それもまた、白井らしい最期だったように思います。
葬儀は7月26日(日)に執り行われます。
また、7月27日(月)には、お母様とともに故郷である函館へ帰る予定です。
白井が当社へ帰ってくる最後の時間として、7月26日(日)17時30分から23時まで、すし堺4階に遺骨をお預かりいたします。
お時間のある方は、どうぞ手を合わせにお越しください。
以下は、白井の中学時代からの友人であり、当社代表である堺博の胸中を言葉にしました。
〜誕生日の前日〜
十七歳の春だった。
あの日、一人の友達と出会った。
何十年も一緒にいたというのに、最初に交わした言葉は思い出せない。
でも、一緒に笑った記憶だけは、昨日のことのように思い出せる。
気がつけば、いつも隣にはアイツがいた。
学校を抜け出してはバイクで走り回り、くだらない悪さをして先生に叱られた。
翌日にはまた同じことを繰り返し、それでも毎日が楽しかった。
車やバイクの話になると時間を忘れた。
一緒にバンドも組んだ。
俺が落ち込んでいるときは、決まってアイツが笑わせてくれた。
十七歳の俺たちは、明日が永遠に続くものだと信じていた。
高校を卒業し、それぞれ違う道を歩き始めた。
数年後、俺は独立し、小さな店を開いた。
そんなある日、久しぶりにアイツから連絡があった。
何を話したのかは覚えていない。
でも、最後に俺が言った言葉だけは忘れない。
「うちで働かないか。一緒に人生を突っ走ろう。」
アイツは少しも迷わず答えた。
「お前と一緒に突っ走るよ。」
その一言で、俺たちの人生は再び交わった。
それから十八年。
店は少しずつ増え、仲間も増えた。
責任も大きくなった。
会社では、アイツはいつも俺を立ててくれた。
誰よりも気を遣い、誰よりも責任感が強かった。
けれど二人きりになると、不思議なくらい十七歳のままだった。
くだらないことで笑い、昔と同じようにバカをやった。
人は歳を重ねても、変わらない関係がある。
それは人生がくれた、かけがえのない贈り物なのだと思う。
病気が見つかった。
最初は、きっと治ると信じていた。
いや、本当は、信じたかった。
会うたびに髪は抜け、体は少しずつ細くなっていった。
その姿を見るたび、胸が締めつけられた。
ある日、俺は言った。
「今のうちに、やりたいことは全部やろう。」
アイツは黙ったままうなずき、静かに涙を流した。
ツーリングへ行った。
温泉にも行った。
ガンダムも見に行った。
しゃぶしゃぶも食べた。
昔好きだったバンドのライブ映像を見ては盛り上がり、大好きな車の動画を見ながら、子どものような目で笑っていた。
体は日に日に弱っていった。
それでも、好きなものを見つめる目だけは最後まで変わらなかった。
やがて電話はつながらない日が増えた。
何日かして届くのは、
「ごめん。少し調子が悪かった。」
そんな短いメッセージだけだった。
「大丈夫。無理するなよ。」
そのやり取りを何度繰り返しただろう。
そして、ある日から返信は来なくなった。
俺は誕生日に渡そうと思って、スニーカーを用意していた。
少しでも歩けるようになったら履いてほしかった。
アイツが好きな色を選んだ。
でも、そのスニーカーを履く日は来なかった。
アイツは、自分の誕生日を迎える前日に旅立った。
あと一日。
たった一日、生きていてくれたら。
そのスニーカーを履いた姿を
見ることができたかもしれない。
同じ街に生まれ、
同じ学校へ通い、
同じ会社で働き、
人生の半分以上を一緒に過ごした。
十五年前、俺も同じ病気になった。
なのに今は、俺がアイツの棺
の前に立っている。
人生は、どうしてこんなにも理不尽なのだろうか。
最後にアイツは何を思っていたのだろう。
まだ見たかった景色があったはずだ。
行ってみたかった街もあっただろう。
食べたかった料理もあっただろう。
会いたい人もいただろう。
そして何より、
もう一度だけ昔みたいに、何も考えず笑いたかったんじゃないか。
最後の数日間、アイツは誰にも連絡しなかったという。
本当にアイツらしい。
今でも時々考える。
あの日、俺が店に誘わなかったら。
アイツは違う人生を歩んでいたのだろうか。
もっと楽な人生があったのではないか。
もっと長く生きられたのではないか。
答えは、もう誰にも分からない。
それでも、アイツは最後に俺へ大切なことを教えてくれた。
幸せは、大きな成功でもない。
たくさんのお金でもない。
人と比べて勝つことでもない。
朝、目が覚めること。
仲間と食事をすること。
くだらない話で笑い合うこと。
「またな。」
そう言って別れ、また会えると信じられること。
そんな何気ない一日こそが、本当は人生でいちばん尊いものなんだと。
俺たちはその幸せを失いそうになって初めて気づく。
近いうちに故郷へ帰ろうと思う。
俺たちが初めて出会った、あの街へ。
十七歳の俺たちが、何も知らずに笑っていた場所へ。
もし、もう一度だけ十七歳に戻れるなら。
俺はきっと、
またアイツと出会って、
同じように笑っている。

(事務所の整理整頓された白井の机の中に一枚だけ置かれていました)




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